COLUMN

2020.10.06

大変だったシリーズ:TAGAKI Advanced 制作裏話 第2話

第2話:Three Reasons完成まで

TAGAKI® Advanced 1 Three Reasons

mpiには、QA-300という教材があります。2001年が初版です。今回、Three Reasonsにその中から、Short Hair or Long Hair, School Uniforms or Regular Clothes, House or Condominium, Saving Money or Spending Money, Morning or Night, Good Looking or Smart, という6つのトピックを再び取り上げました。

 

何が違うか?QA300ではAについてもBについても例文をあげています。今回のThree Reasonsでは、Aだけは見本文を示し、Bは学習者が自分で考えて、書く、としました。つまり、生徒が自分で考えて書く、ということがずっと増えたということです。TAGAKI 10~50では、見本文が必ず存在し、ヒントも十分に与えられています。しかし、第2シリーズはいよいよ独立の時なのです。

 

どうしてそのようにしたのか?考えることが大切だからです。Bでは、たとえそれが自分が書きたいトピックでなくても、3つの理由を考えなくてはなりません。トライアルをやってくれた高校生は、「とにかく、3つの理由を書けばいいんですね」と言って、考えていました。ブレーンストーミングに慣れるとどんどん考える時間も早くなり、最終的には3つの理由考えてそれを10分程度でタイプ提出できると聞いた時には安心しました。

 

トライアル版を作った

たったの5トピックだけですが、全国の200人くらいの中高生に、トライアル版をやってもらいました。フォーマットは最終案とちょっと違うのですが、そこでわかったことは、

 

1 生徒は自分の考えを書くことはできるが、見本文がうまく機能しないと文法的、そして語彙的な間違えが多くなる。

 

2 英語のレベルをあげていくという目的のために、そこで使ってほしい重要フレーズを「必ず使ってください」と提示したところ、それに縛られて書けなくなる、という報告がきました。例えば、Showerのよい点を3つあげない、というトピックで、Before ,While, Afterという設定をつけたら、「え〜、これってどういうこと?Beforeはまずはどうやって服を脱ぐかとか?」「何か素晴らしいシャンプーを用意するとか?」と盛り上がってしまって、授業にならなかったというお叱りをうけました。だから役に立つ表現は各トピックについて5つずつ提示してありますが、あくまでも参考とし、使えたら使うとしました。

 

3 見本文が面白くないと、みんな同じような答えがでてくる。するとシェアリングタイムが面白くない。盛り上がらない。

 

そこで、暫定的に30のトピックを選び、そして著者にスージーさんをお願いしました。スージーは今はカナダに住んでいますが、日本にも長く住んでいたことがあり教師経験も豊富です。

著者にスージーさんを選んだ理由は1つだけ。スージーさんが本当に愉快な人だからです。いつも冗談をいい、人と接することを楽しむ、一言でいえば人生の達人です。スージーのユーモア精神で人生を乗り切ることを日本の中高生にも見習ってほしいと考えました。

 

スージーさんにだいぶ書きためてもらってから、2019年の6月17日に私はバンクーバーに飛びました。スージーは大学の仕事を休んでくれて、1週間、原稿を詰めてくれました。

午前中になんだかんだと話しあい、夜型のスージーさんは朝の3時、4時まで書き直してくれました。午前中にいいたいことを言った私は、市内観光、買い物、食べ歩きと気楽なものです。夕食はハチドリもくる素敵なスージーさんの庭を眺めながら、スージーさんが作ったテラスで、素晴らしい手料理。

帰国した私は、よし、これでいける、と納得しました。

そうして30のトピックがきまったところで、6人の高校生にそれを全部やってもらいました。高校生の一番の言い分は、AとBをどちらを書くかということにつきました、例えば、「A生きているペットか、それともBロボットペットか」というテーマでは、どうして自分たちにAを書かせてくれないのか、と大ブーイング。その他にも、「A 頭のいい友達か、それともBかっこいい友達か」「A 宇宙旅行か、それともB深海旅行か」も自分たちがAを書きたい、と怒っていましたね。でも、普段考えてもみなかったことを考える、未来を見通して考えてみる、などと励ましてみました。最後には「やればどうにかなるんだ〜」と高校生は納得したようでした。

 

続く

 

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